林地に苗木を植えてから木々が生長してくると、林の中は込み合い、隣の木同士で枝葉が重なり合うようになります。
このような林になると、木々はそれ以上枝葉を広げることが難しくなり、横に向かってお互い生長することができなくなります。
そこで、木々を生長に合わせて適度な間隔を持たせるために抜き伐りをすることにより、日光の入りを良くし、枝葉を広げる空間を
作ってあげることができます。このように混み合ってきた林の木々の一部を抜き伐る間引き作業を「間伐」といいます。
間伐により林の中に枝葉を広げる空間を作り、光を適度に与えてやると、残った木々は幹が太く、しっかりした健全な木に育ち、
価値の高い太い木材を生産することができます。
また、その結果、林内に光が入り、林床に植生が生じ、森林の土壌が守られることにより、豪雨などの天災に強い健全な森林になります。
そして豊かな植生は生物の多様性にもつながります。
森は幾つもの機能を持っています。二酸化炭素の吸収源・貯蔵庫として重要な役割を発揮しており、地球温暖化の防止に貢献しています。
また、大気浄化、水源涵養、治山治水、野生生物の保護、木材の供給なども、森林が果たす大事な機能です。
森を「木材を生産する場所」として考えれば、太い樹がたくさん育っている森が豊かな森ですし、森を「生き物を育む場所」として
考えれば、大小様々でたくさんの種類の樹や草が育っている森が豊かな森になります。紅葉する樹や冬も緑の樹がバランス良く混じって
美しさを感じさせる森も景観や観光などの面から考えれば豊かな森です。
人工林の場合には、これらの森の機能を増進させるために、間伐は欠かせない作業です。